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ご存じ、アウトドアをこよなく愛する作家、椎名 誠さんが登場。 黎明期からカヤックを楽しむ椎名さんならではの魅惑的な話は、カヤックファンならずとも引き込まれます。 |
椎名誠(しいな まこと) 1944年東京生まれ。作家、「本の雑誌」編集長、映画監督など幅広い分野で活躍。著書は『さらば国分寺書店のオババ』『哀愁の町に霧が降るのだ』『新橋烏森口青春篇』『アド・バード』『武装島田倉庫』『岳物語』『犬の系譜』『黄金時代』『ぱいかじ南海作戦』など多数。野遊び集団「怪しい探検隊」の隊長としても知られ、現在は第三次怪しい探検隊である「怪しい雑魚釣り隊」を結成。アウトドア歴は30年以上。 |
カヤックに久しぶりに乗ってみて……ちょっと怖かったんだ。今回乗ったシットオントップタイプは視線も重心も高くて、いままで乗ってきたカヤックと第一印象が全然違ったわけ。でも、しばらく乗ってみたら、重心が高いわりに安定していたのがとても意外だった。
はじめてカヤックに乗ったのは30代の後半のころ。全国の川をカヤックで下ったルポルタージュ『日本の川を旅する』を書いた野田知佑さんを千葉の亀山湖まで訪ねたときに、いきなり海まで小櫃川を下ることになっちゃったんだ。
テント、寝袋、食糧なんかをぜんぶ積み込んで、中州に2泊してさ。上陸しやすいから。食事は簡素だけど、中州にいっぱい生えている孟宗竹を切って、焼酎を入れて燗をした「かっぽう酒」を作る。もちろん酒は大量に持っていったよ。
これまでは、わざわざカヤックしに行くというよりも、山に行ったり、海に行ったりするなかで、カヤックという遊びを取り入れていったという感じかな。ある時期からあまりカヤックに乗らなくなったのは、だから仲間が集まりにくくなったせいもあるんだ。これを機にぜひまた復活させたいね。